1998年5月、核拡散防止条約(NPT)に加盟していないインドとパキスタンが相次いで核実験を強行しました。これに対して危機感を募らせた被爆地の長崎の市民は、核の惨禍を知る被爆地ヒロシマ・ナガサキの声を世界に伝えるために、未来を担う若者を「高校生平和大使」として国連に派遣することにしました。 高校生平和大使は、1998年から毎年国連を訪問し、核兵器廃絶と平和な世界の実現を訴えてきました。第2代まではアメリカ・ニューヨークの国連本部へ、第3代からは軍縮会議が開かれるスイス・ジュネーブの国連欧州本部を訪問しています。国連で「ヒロシマ・ナガサキ・ピース・メッセンジャー」として認知されている高校生平和大使は、その真剣な言動が高い評価を得ており、2018年から毎年ノーベル平和賞の候補に挙がっています。
高校生平和大使の活動
高校生平和大使の主な活動は、以下の4つです。
高校生1万人署名活動
高校生1万本えんぴつ運動
高校生アジア子ども募金
デジタル署名
1.高校生1万人署名活動
a) 活動のはじまり
自分たちの力で核兵器廃絶を目指したいと考えた高校生たちによって始められました。
b) 署名活動
約1年間署名を集め、8月に高校生平和大使によって国連欧州本部に届けられます。国連欧州本部には、高校生1万人署名簿の展示棚があり、2011年11月に開設された常設原爆展にも、署名簿の一部が展示されています。
2.高校生一万本えんぴつ運動
2001年9月11日のニューヨーク同時多発テロ事件や、その後のアフガニスタン戦争をきっかけに、"ミサイルよりえんぴつを!武力より教育を!"をスローガンに「高校生1万本えんぴつ運動」が始まりました。
その後、アジアの子どもたちへえんぴつを贈ることとなり、フィリピンとの交流は2001年8月から続いています。毎年夏にはぴりピンの高校生を広島・長崎へ招待し、互いの歴史・文化を学んでいます。
3.高校生アジア子ども基金
2006年、高校生1万本えんぴつ運動を続ける中から、えんぴつを贈っているアジアの子どもたちに、高校生が里親となって奨学金を送る「高校生アジア子ども基金」が創設されました。現在、フィリピンの6人の学生に毎月5,000円の奨学金を送って支援しています。
4.デジタル署名
高校生1万人署名活動実行委員会のHPにて、デジタル版の署名活動も行われています。
是非、みなさまもご協力ください。
歴代「高校生平和大使」の活動
初代/2名 1998年
10月 国連本部訪問
第2代/3名 1999年
11月 国連本部訪問
第3代/2名 2000年
8月 国連欧州本部訪問
ベルリンの壁・アウシュビッツ訪問
第4第/3名 2001年
8月 国連欧州本部訪問
オランダ・アムステルフェーン訪問
第5代/2名 2002年
8月 国連欧州本部訪問
フランス政府訪問
故ローマ法王ヨハネ・パウロII世特別謁見
第6代/2名 2003年
8月 国連欧州本部訪問
アウシュビッツ訪問
第7代/2名 2004年
8月 国連欧州本部訪問
フランス政府・パリ市訪問
第8代/5名 2005年
8月 国連欧州本部訪問
ギリシャ・アテネ訪問
第9代/5名 2006年
8月 国連欧州本部
アウシュビッツ訪問
第10代/8名 2007年
8月 国連欧州本部訪問
国連訪問 10周年記念講演・レセプション開催
リヒテンシュタイン訪問
第11代/6名 2008年
8月 国連欧州本部訪問
ベルギー・イーペル市訪問
第12第/7名 2009年
8月 国連欧州本部訪問
ベルギー・イーペル市訪問
第13代/14名 2010年
8月 国連欧州本部訪問
10月 トルコ原爆展派遣
1月 タヒチ派遣
第14代/12名 2011年
10月 国連欧州本部訪問
第15代/19名 2012年
4月 ブラジル派遣
8月 国連欧州本部訪問
第16代/20名 2013年
8月 国連欧州本部訪問
ユース非核特使第1号委嘱
第17代/29名 2014年
2月 メキシコ「核の非人道上の影響越境に関する国際会議」2名派遣
8月 国連欧州本部訪問 20名
ドイツ訪問 2名
インド訪問 2名
11月 フィリピン台風被災地訪問3名
第18代/25名 2015年
8月 国連欧州本部訪問 21名
1月 フィリピン訪問 4名
第19代/46名 2016年
8月 国連欧州本部訪問22名
1月 フィリピン訪問 2名
3月 韓国訪問 22名
第20代/22名 2017年
8月 国連欧州本部訪問 22名
第21代/20名 2018年
8月 国連欧州本部訪問
ギリシャ・アテネ市訪問
第22代/23名 2019年
8月 国連欧州本部訪問
アウシュビッツ訪問
第23代/28名 2020年
12月 国連軍縮担当上級代表 中満泉さんとのオンライン意見交換
最近の活動
ハワイの高校生との交流
長崎の第23代高校生平和大使3人が、2020年7月19日に米ハワイの高校生とオンラインで交流し、長崎への原爆投下の歴史を伝えて意見交換を行った。
国連軍縮事務次長との意見交換会
コロナ禍で高校生平和大使の活動が制限されるなか、第23代高校生平和大使兵庫選出の外園駿さんの発案で、国連軍縮担当上級代表の中満泉さんと高校生平和大使の意見交換会が2020年12月16日に行われました。北海道、東京都、静岡、福岡県など16都道府県の26人の高校生が参加しました。
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